就職後6か月で受けられる！就労定着支援とは？ 就労移行支援との違い・対象者・期間・料金について解説

就労移行支援と定着支援の違いが分からず混乱している

いつからどんな支援が受けられるのかが曖昧

就職後も支援が続くのか、孤独にならないか不安

はじめて就職に向けた支援サービスを調べていると、「就労移行支援」「定着支援」など、似たような言葉がたくさんあって、混乱してしまいますよね。

「どこまでサポートしてくれるの？」そんな不安はとても自然なこと。

特に、就職後のサポートについて正しく理解できていないと、「仕事が続けられるかな…」という不安も膨らんでしまいます。

就労移行支援と定着支援は、就職前と就職後に分かれて提供される、役割の異なる支援です。

特に定着支援は、就職後にスタートする「継続就労のためのフォロー支援」。

就職後も一人じゃないと実感できる、大切なステップなのです。

この記事では、厚生労働省の定義や実際の事業所の取り組みをもとに、

• 就労移行支援と定着支援の違い
• 定着支援の仕組み
• 支援の内容について

わかりやすく丁寧に解説しています。曖昧だった内容も、スッキリ整理できるはずです。

読み終わる頃には、就労移行支援から定着支援への流れがつかめ、「就職しても孤立しない」「悩みを一人で抱え込まなくていい」と安心できるようになります。

就労移行支援と就労定着支援の概要

就労移行支援と就労定着支援は、障害のある方が働くための力をつけたり、働き続けられるようにするための福祉サービスです。

このふたつの支援を組み合わせることで、就職から職場定着まで一貫したサポートが受けられます。

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方が対象で、2年の間に必要なスキルを身につけます。

就労定着支援は、実際に働き始めた方が長く安定して働けるようにするサービスです。

次に、それぞれの対象者と必要な条件について詳しく見ていきましょう。

就労移行支援とは

就労移行支援は、障害のある方が働く準備をするための福祉サービスです。

通所しながら、もしくは在宅で、生活のリズムを整え、働くための知識やスキルを身につけます。

たとえば、朝起きるのがつらい方には、決まった時間に通所することで生活リズムを整える支援をします。

また、パソコンスキルやコミュニケーション練習など、仕事に必要なことを毎日少しずつ学べます。

事業所では、実際の会社に行って仕事を体験できる「職場実習」もあります。

就職のときには、履歴書の書き方や面接の練習、求人探しもサポートしてくれます。

利用期間は原則2年ですが、必要に応じて1年延長できる場合もあります。

対象は65歳未満で、就職の意欲がある障害のある方です。

就労定着支援とは

就労定着支援は、働き始めた後に困らないようサポートする制度です。

職場での悩みや生活の変化に合わせて、定期的に支援スタッフが関わります。

たとえば、人間関係のストレスがあれば、事業所スタッフが本人の話を聞き、職場に相談してくれます。

また、薬の副作用で体調を崩しているなら、医療機関と連携して対応します。

一人で抱え込まず、定期的な面談で悩みを共有できるのが大きな安心です。

利用期間は就職してから7ヶ月目から、最大で3年まで支援が続きます。

事業所と本人、会社が連携して、長く働きやすい環境を整える支援です。

支援の対象者と要件

就労移行支援と就労定着支援は、どちらも障害のある方を支える制度ですが、対象となる人や利用できる条件は違います。

まずは、どんな方が対象になるのかをしっかり知っておきましょう。

それぞれのサービスには、利用するための条件や基準があります。

就労の希望や現在の状況によって、使えるサービスが変わります。

次に、それぞれのサービスに当てはまる対象者について詳しく説明します。

就労移行支援の対象者

就労移行支援の対象は、障害のある18歳以上65歳未満の方です。

就職したい気持ちがあり、働くための準備をしたいと考えている人が対象です。

たとえば、うつ病や発達障害などで長く仕事から離れていた方でも、再び働きたいと考えていれば利用できます。

障害者手帳がない場合でも、医師の診断書や意見書などがあれば、利用が認められることもあります。

市区町村の福祉課で「サービス等利用計画」が作られ、支給決定を受けることが必要です。

この支援は、働きたいという気持ちがあることが一番大切です。

就労定着支援の対象者

就労定着支援は、すでに一般企業に就職した障害のある方が対象です。

就労移行支援などの福祉サービスを利用して就職した方が、長く安心して働けるように支援されます。

※就労移行支援を利用しなかった人は対象外です。

たとえば、就労移行支援を利用して企業に就職し、6ヶ月間は事業所の「初期定着支援」を受けていた方が対象です。（無償です）

7ヶ月目以降、働き続ける中で人間関係のストレスや業務の悩みが出たとき、就労定着支援がサポートに入ります。

本人の希望だけでなく、企業や医療・福祉の機関と相談して、支援の必要性が判断されることもあります。

就職後に孤立しないよう、身近に相談できる支援者がいることが大切です。

職場で安心して働き続けるために、この支援はとても役立ちます。

支援内容の詳細

就労移行支援と就労定着支援では、それぞれ違うタイミングで違う支援を行います。

就職する前と、就職した後では、必要なサポートが変わってくるからです。

就労移行支援では、通所しながら就職に向けて準備します。

一方、就労定着支援は、働き続けるなかで出てくる悩みや問題を解決するための支援です。

それぞれどんな内容があるのか、詳しく見ていきましょう。

就労移行支援の内容

就労移行支援では、まず毎日の生活リズムを整えるところから始めます。

それから、働くために必要なスキルを学んだり、職場体験をしたり、就職活動をサポートしてくれます。

たとえば、朝が苦手で学校や仕事を休みがちだった人は、毎日決まった時間に通所することで体のリズムを整えられます。

パソコンの使い方や電話の受け答えなど、会社で必要なスキルも丁寧に教えてくれます。

事業所によっては、実際の会社で数日間仕事を体験できる「職場実習」があります。

就職活動では、ハローワークや企業への応募を支援し、面接練習や履歴書の添削もしてくれます。

就労定着支援の内容

就労定着支援では、実際に働いてからの困りごとを解決するためのサポートが中心です。

本人だけでなく、会社とも連携しながら支援していくのが特徴です。

たとえば、「上司との関係がうまくいかない」という悩みがあったときは、事業所の職員が間に入って調整してくれます。

仕事がきつくて体調を崩しそうなときは、医師と連携して働き方を調整することもあります。

支援スタッフは、定期的に本人と面談をして、変化にすぐ対応できるようにしています。

会社の人にも障害特性を理解してもらい、無理のない働き方ができるように支援します。

こうした支援があることで、離職を防ぎ、安心して働き続けることができます。

利用期間と料金

就労移行支援と就労定着支援には、それぞれ決まった利用期間と、料金のしくみがあります。

支援の内容だけでなく、使える年数や費用についてもきちんと知っておくことが大切です。

利用できる年数が限られているので、無理なく計画的に支援を活用しましょう。

また、支援の料金は多くの場合、無料か少額で受けられます。

では、それぞれの支援の利用期間と料金の詳細を見ていきましょう。

就労移行支援の利用期間と料金

就労移行支援は、原則として2年間利用できます。

ただし、必要があると市町村が認めた場合は、1年間延長して最大3年まで利用できます。

たとえば、就職で時間がかかる人でも、申請理由によっては延長することが出来ます。（コロナ禍では延長申請が多くありました。

利用料金は、本人や世帯の収入によって異なりますが、ほとんどの人は無料です。

たとえば非課税世帯なら完全に無料で、安心して通えます。

収入がある場合でも、月額上限が決まっているため、高額になることはありません。

就労定着支援の利用期間と料金

就労定着支援は、就職してから7ヶ月目以降に利用できる支援です。

1年ごとに更新できて、最長で3年間受けることができます。

たとえば、働き始めて半年後に「もっと支援が必要」と感じた場合、この支援をスタートできます。

定着支援は、就職後のさまざまな悩みをサポートするため、長期的に利用する人が多いです。

利用料金は世帯の収入に応じて変わり、上限があるので負担は少なくすみます。

収入が低い場合は、移行支援と同じく無料で利用できることも多いです。

金額の詳細は自治体や事業所に確認すると確実です。

就職後のサポートと終了後の対応

就職後も、さまざまな形で支援が続きます。

また、定着支援が終わったあとでも、必要な人には別のサポートが用意されています。

働き始めてから6ヶ月間は、就労移行支援事業所が初期定着支援を行います。

その後、就労定着支援事業所が引き継ぎ、最大3年間サポートが受けられます。

就職後の支援体制

就職直後から半年間は、就労移行支援事業所が引き続きサポートします。

6ヶ月が経過したあと、必要な人には就労定着支援が始まります。

たとえば、働き始めて間もない頃は、慣れない環境で戸惑うことが多くあります。

そんなときに、いつも通っていた事業所のスタッフが相談に乗ってくれると心強いです。

その後、安定して働き続けられるように、定着支援事業所が長期で支援を引き継ぎます。

この切れ目のない支援体制が、職場定着率の向上に大きく役立っています。

支援終了後の対応

就労定着支援が終わっても、必要に応じて別の支援機関につながることができます。

とくに「障害者就業・生活支援センター」が、その後の支援を引き継ぐことが多いです。

たとえば、定着支援の終了後に生活や仕事のことで新たな困りごとが出た場合も、地域のセンターに相談できます。

必要があれば、福祉サービスや医療機関への橋渡しもしてくれます。

このように、支援が終わってもひとりにならず、安心できる体制が整っています。

長く働き続けるためには、「終わりがある支援」ではなく「続いていく支援」が必要です。

定着支援後のサポート体制も、あらかじめ知っておくと安心です。

就労移行支援事業所の選び方

就労移行支援を受けるには、自分に合った事業所を選ぶことがとても大切です。

事業所ごとに支援の内容や得意分野、雰囲気が違うので、事前にしっかり比較しましょう。

利用開始前に、必ず事業所を見学し、実際の雰囲気やスタッフの対応をチェックしましょう。

支援の内容だけでなく、通いやすさや自分の目標に合っているかも大切なポイントです。

就職者と定着率が高い事業所を選びましょう！

事業所を選ぶときは、「就職者数」と「職場定着率」が高いかどうかを確認しましょう。

就職できた人数が多くても、すぐ辞めてしまっていては本当の意味での支援とは言えません。

たとえば、ある事業所のホームページで「就職率85%、定着率80%」などの実績が公開されていれば、安心感があります。

利用者の口コミやインタビューが紹介されている場合も、参考になります。

数字だけでなく、その事業所がどんな支援をしているかを具体的に確認しましょう。

定着率の高さは、就職後までしっかりサポートしている証拠でもあります。

働き続けることを目指すなら、実績と支援の丁寧さは重要なポイントです。

必ず比較をしましょう！

1つの事業所だけを見て決めるのではなく、複数を比較して選ぶのが大切です。

それぞれに強みや雰囲気の違いがあるので、必ず見学をして自分の目で確かめましょう。

たとえば、ひとつ目の事業所ではパソコン訓練が中心、二つ目では軽作業や実習が中心など、方針が違うことがあります。

支援スタッフの人柄や話しやすさも、通所を続けるうえでとても大切なポイントです。

気になることがあれば、遠慮せず質問しましょう。

通いやすさ、雰囲気、自分に合うかどうかを比べて、自分にぴったりの事業所を選びましょう。

しっかり比較すれば、長く安心して通える事業所がきっと見つかります。

総合型と特化型の違い

就労移行支援事業所には、いろいろな分野に対応する「総合型」と、特定の業種に強い「特化型」があります。

自分の目指す職業やスキルに合わせて、どちらが合うかを選びましょう。

たとえば、まだ職種が決まっていない人には、幅広く学べる総合型がおすすめです。

一方、すでに「ITの仕事に就きたい」と決まっているなら、プログラミングに特化した事業所が合っているかもしれません。

特化型では、専門スキルを集中的に学べるので、就職の幅が広がることもあります。

ただし、専門性が高い分、学ぶ内容も難しくなる場合があります。

自分の今の状態や目標に合わせて、どちらが合っているか考えてみましょう。